共同代表の宮川がSXSW2022にてセッションスピーカーとして登壇しました!

3月に開催されたSXSW2022に於いて、VISIONGRAPH共同代表の宮川がインパーソンのセッションスピーカーとしてデビューを果たしました。

Will We Still Have Sex in the Future?」と題したセッションでは、近年SXSWで盛り上がりを見せているセックステック関連の専門家や研究者をパネリストに集め、VISIONGRAPHが提示する未来のシナリオについての議論を行いました。SXSW会期後半の3月17日に開催されたセッションには約100名のオーディエンスが集まり、1時間のパネルディスカッションとオーディエンスからのQ&Aが行われました。

このセッションはVISIONGRAPHが2021年に発表したレポート「性愛の未来」をベースにしており、SXSWのセッション公募システム「PanelPicker」を通じて、選考委員会による審査と一般投票によって選出されました。こちらではセッションの内容を要約してお伝えします。

約100人のオーディエンスに向けて、4人のスピーカーによるパネルセッションを行いました。

【パネリスト紹介】

Rocio Pelayo / Hablemos SexTech
ラテンアメリカコミュニティのセックステックメディアHablemos SexTechの代表。メキシコ出身で現在はオースティン在住。

Lex Gillon / Modality Group
セックスビジネスのリサーチ会社Modality GroupのCEO。米国アトランタ出身で現在はドイツを拠点としている。

Haruna Katayama
SexTech Analystとして市場調査レポートを出版。現在はロンドンの大学院に在籍し、特に女性のオーガズムや性機能障害と脳の関係性についての研究を行う。

Maiko Miyagawa / VISIONGRAPAH
未来像{HOPE}をつくる専門会社VISIONGRAPHの共同代表。様々なテーマに基づいた未来の予報を描き出すFuturistとして活動。SXSWには2012年より参加。

2050年までのシナリオ

人々がセックスをする理由は、大きく分けて3つあります。 子供を作るという生殖目的。性欲を満たすという目的。コミュニケーションとしての目的。このうち生殖目的について、既にアメリカでは新生児の2.1%、日本では6%が人工授精で妊娠しています。2050年にはバイオテクノロジーがさらに発展し、生殖のために性交渉は必要なくなるだろうと考えられます。性欲の解消やコミュニケーションとしての目的においても、セックステックの進化による新たな製品やサービスの開発が進んでおり、マスターベーションの領域が拡大しています。VISIONGRAPHでは以下のような未来のシナリオ(仮説)を発表しています。

2025年 不安要因によりセックスが敬遠される
2030年 リアルなセックスよりもデジタルなセックスが流行する
2040年 人間以外との理想的なセックスが可能になる
2050年 生殖目的から完全に解放される

宮川による冒頭のプレゼンテーションの様子

デジタルセックスの可能性

VR技術を用いたバーチャルなセックスやマスターベーションが今後普及する事によって、人間以外のバーチャルな存在に対して性的興奮を覚える「デジセクシャル」が増加すると考えられます。しかし、デジタルだけに傾倒するのではなく、同時に人間にも性的魅力を感じる人も多くいるでしょう。また、セックスの定義についても様々な価値観があり、挿入を伴う必要はない、親密な触れ合いだけでもいい、または言葉だけでもセックスと呼べるかもしれません。 マスターベーションかセックスかのどちらかに偏るのではなく、選択肢が増えることによってセックスの捉え方も以前とは異なってくると考えられるでしょう。

セックステックはマスターベーションを加速させるだけではなく、人と人との親密さを促進し、高める目的で開発されています。 自分の条件に合わせて膨らませることができる人工ペニスや、膣の潤滑性を高めることができる道具など、セックステックは健康問題や社会問題の解決にも繋がります。

デジタル技術とセックステックの発展によってマスターベーションがより豊かになるのは良い事ですが、その結果としてより孤立した性的交流に繋がってしまう危険性もあると思います。「孤独」について考えるとき、両方の切り口があると思います。セックスグッズを使いすぎたり、本当のパートナーがいないという時点で、マスターベーションは孤独を加速させるかもしれません。一方で、他に選択肢がなく、自分の欲望を行動に移せない人のための救済策になるかもしれないのです。デジタル・セックスは、現実の世界では交流できないような人たちに、本当に面白いものを提供できると思います。

セックステックと性教育の課題

日本は深刻な少子化の問題に陥っていますが、セックスに対する忌避間には子育てや妊娠に対する社会的なプレッシャーの影響が大きく、社会問題への解決には別方向からのアプローチも必要でしょう。妊娠や子育てによって、特に女性の社会参加が妨げられてしまうような状況を改善していかないといけません。

性教育はティーンエイジャーに強い影響を与えます。特に日本では、セックスはクリーンではない、危険だというネガティブなイメージを抱く人が多く、10代のセックス率が低下しています。デジタルセックスやセックステックの発展が未来の人々に良い影響をもたらす為には、セックスやマスターベーションに関する正しい知識を身に着ける必要があり、そのために性教育はとても重要です。

性教育については、やはり家庭での会話が必要なのです。少なくともラテンアメリカでは、家庭が非常に重要です。性教育は、学校や政府に任せるのではなく、それぞれの家庭で行われる必要があります。

スピーカーの集合写真。左からLex/Maiko/Haruna/Rocio

SXSW2023に向けて

このセッションはVISIONGRAPHが2021年に発表したレポート「性愛の未来」をベースにして開催されました。ご興味のある方はぜひダウンロードしてご覧ください。
また、SXSWのセッション公募システム「PanelPicker」は毎年夏頃に応募が開始されます。SXSWにスピーカーとして登壇したいという方は、SXSW2023に向けてぜひ応募してみてください。